旗出し係の海渡弁護士と笠置弁護士弁護士の城田です。
歴史的な1日でした。
第4次厚木基地騒音訴訟,昨日14時からの判決言い渡し,裁判長から,
「防衛大臣は,午後10時から午前6時まで,やむを得ないと認める場合を除き,自衛隊の使用する航空機を運航させてはならない」
との言葉が発せられました。
一瞬「・・・?」と耳を疑い,その後,背筋をゾクっと寒気が伝い(勝訴判決でこんなことは初めてです),事態が飲み込めてくると,原告の皆さんや弁護団のこれまでの苦労がどっと思い起こされ,熱いものが込み上げてきました。
普通に会話をしたり,寝ていたり,子供達が勉強したり校庭で遊んだり,そんな日常のなか,突然,耳をつんざくような爆音をまき散らして戦闘機が飛んでいく,しかも,機体の色や柄がはっきり見えるほど低空を,何機も連続して。
それっておかしいんじゃないか?という素朴な憤慨から,2007年の第4次提訴以来,訴訟に関わらせていただきました。
1976年の第1次提訴から実に37年,「高度に政治的」との理由で,司法が踏み込むことができなかったところに,初めて,裁判所が判断を示しました。
横田,嘉手納,小松など,他の基地訴訟にも,大きな影響を与えることは間違いありません。
また,今回,原告の数は約7000名,賠償認容額は約70億円,いずれも基地訴訟史上最多・最高額。
まさに「全国初」「史上初」の判決です。
ところで,判決文を冷静に読んでみると,厚木基地周辺の住民達は,航空機の騒音によって,睡眠や会話の妨害,学習などの精神作業に対する妨害,不快感,健康被害への不安を初めとする精神的苦痛を受けている,特に睡眠への妨害は健康被害へと直接結びつきうる深刻な被害であると。だから,国は損害を賠償しなければいけないし,夜間は航空機を飛ばしちゃいけないと。
当たり前のことを言っています。
静かな環境で暮らす,夜はゆっくり眠るという,人として当たり前のことが,航空機爆音相手には実現できなかったことが,そもそもおかしかったのです。
今回実現できたのは自衛隊機の飛行差し止めですが,住民が受ける被害は米軍機であっても全く同じ。
控訴審では,米軍機への飛行差し止めを必ず実現しよう!そんなことを原告団・弁護団の皆さん達と決意し合いました。