弁護士の小澤です。
東日本大震災発生から早くも4年近くが経とうとしています。
しかし被害者の方々の傷はまだまだ全く癒えていないのが現状です。
福島原発被害における国や東京電力の責任。
被害発生当時は,ニュースでも多く取り上げられ,社会の大きな関心事となっていましたが,
4年近く経った今となっては,何かその責任の所在はうやむやになってしまってないかと
感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし,地震や大津波が起こることが予見されていたにもかかわらず,
それに対する十分な対策を怠り,結果として今回の甚大な被害が発生したとすれば,
それについて責任をとることは当たり前のことでしょう。
現在,原発事故の究明はどこも進めておらず,
司法の場しか究明の方法が残されていないのが現状です。
私は,現在,所属する福島原発被害者支援かながわ弁護団において,
国や東京電力の責任を追及するための法律的な構成について,
専門家の助言をいただきながら,他の弁護士らと議論を重ねています。
そして,議論を重ねていく上で,助けになった本がありますので紹介します。
『原発と大津波 警告を葬った人々』(添田孝史著,岩波新書)
添田さんは,原発事故の国会事故調査委員会で協力調査員として
津波分野の調査を担当した方で,同書はとてもわかりやすく
原発事故の責任の在処について書かれています。
裁判に関わっている者だけではなく,多くの方がこの問題,
「福島原発被害の責任の在処」という問題に関心を寄せ議論を重ねていくこと,
それこそが今回の事故の真相究明,ひいては同様の事故の再発防止に
つながっていくのではないかと思います。
そういった意味で,添田さんの本は是非読んで欲しいおすすめの一冊です。